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ゆのきけいすけびじゅつじゅんびしつ

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瀬戸ノ島景  Scene of the Islands

 

2013年

瀬戸内国際芸術祭2013

クスノキ、スチールスタンド、染色

 

 

【コンセプト】

 

約10年前、私が初めて瀬戸内海を渡ったのは大学生の1人旅によるものでした。神戸三ノ宮港から高松まで、感慨も無くフェリーに乗り込んだものの、航行と共に現れる凪の瀬戸内海とぽっこりとした島の群れに感動を押さえきれませんでした。何枚分のシャッターを切ったのか今では思い出すこともできません。私と瀬戸内海との出会いはこうして始まりました。

 

今回、瀬戸内国際芸術祭で作品を制作するにあたり、最初に思い浮かべたのはこの鮮やかな瀬戸内海の記憶です。自らが航行しているような空間を。初めて瀬戸内海を渡った時の感動を。コンセプトの基盤はこうして生まれたのです。その後、リサーチや試行錯誤を重ね、1年半の時を経てようやく「瀬戸ノ島景」という作品に到達しました。

 

リサーチの中で特に重要だった項目が2つあります。1つが古事記。もう1つが地質。日本最古の歴史書である「古事記」には日本の国が出来上がった神話が書かれています。イザナギノミコトとイザナミノミコトがドロドロの地に矛を刺し、矛先からしたたり落ちた雫が最初の島となったそうです。そこに降り立った二神が次々と島を生み出し、日本という島国が創世されていきます。小豆島も登場するこの神話をイメージし、瀬戸内海の島々が生まれていく様を演出することにしました。

もう1つの地質についてです。なぜあのようなぽっこりとした形をしている島が多いのかを調べていくうちにこの地方特有の地質についてを知ることになりました。瀬戸内の島々は花崗岩、集塊岩、安山岩からなる浸食地形のため、ビュート地形(※)やメサ地形(※)などのユニークな形をしているものが多いようです。作品ではクス材の木目を利用してこうした地層の重なりを表現することにしました。

 

古くから伝わる神話や歴史、大地の浸食や地層の重なり、そして自らの手で何万と彫り起こしてきた木の肌など。蓄積することの強さや美しさを作品から感じ取って頂ければと思います。